二兎を追うものは一兎も得ずというのは本当でしょうか。わが国では,「この道一筋」が尊ばれることもあり,余り疑問をもたれていないようです。
しかし,一度きりの人生(もちろんビジネスでも),何かを捨て去るのは惜しい場合もあります。もちろん,吟味した上で,不要なものはズバッと捨て去るべきです。しかし,そうでない場合は,「そもそも二兎を追うことが不利益になるという前提を疑う。」「二兎を得る戦略・戦術を練る。」ことに知恵を使うのが重要と考えています。そもそも「何かのために何かを犠牲にした。」という気持ちが残るのは,精神衛生上非常に良くないです。
例えば,仕事と家庭は完全に両立しますし,相乗効果も出せます。家庭を犠牲にして成功したとか聞くと,厳しく言えばその人の能力はその程度のものであるか,あるいは家庭のことをしたくないがためにそのような言い訳をしているのかとか考えてしまいます。
私は弁護士活動の中でも,依頼人の方のために,二兎とも得たい状況の中で,どちらかを捨てるという安易な解決ではなく,二兎を得る方法はないかといつも知恵を絞っています。そこにプロフェッショナルとしての価値があります。