リスク管理の超基本

リスク管理というと,すぐに難しい話しが始まるのが通例です。費用もそれなりにかかります。しかし,その前に,以下の3点がしっかり実現できているかを確認されるだけで大きな効果がありますし,逆に,これらの基本ができていなければ,いくら高度なことをしても無意味です。

1 最大リスクを認識する。性悪説で考える。

2 目に見えるかたち・証拠を残す。

3 その行動をきちんと「説明」できるか。

1については言うまでも無いことです。費用もさほどかからないはずですが,人は自分が見たくないものは見ないという強い習性がありますので気を付ける必要があります。2については,いくら適切なリスク管理をしていても,「かたち」として残っていなければ「何もしていない」ということと同じに評価されてしまうと考える必要があります。日々,何事も記録化することが非常に重要です。

最後に3についてです。リスク管理は,将来のことを想定した動きなので,問題の発生を完全に防ぐことは困難です。また,コストの問題もありますし,利益を得るための企業活動をしないといけないのですからリスクを全くとならないこともできません。そこで,重要になってくるのが,「何故そのような行動をとったのか」と合理的にきちんと説明できるようなシナリオを作っておくことです。きちんと説明さえできれば,結果として問題が発生しても,さほど大きな問題にならずに切り抜けられます。そこには,「見解の相違」はあるかもしれませんが,見解の相違にすぎない場合には,相手方やマスコミ等の第三者は当方を強く攻撃することはできません。しかし,当方がきちんと説明できず,不合理な弁解を繰り返すばかりでは,相手方の攻撃は徹底的なものになるばかりでしょう。現代は,自己責任の時代です。このような適切なシナリオづくりがいつもできているか否かが企業の死命を制するといっても過言ではないでしょう。

STAP細胞の問題について当てはめて考えてみましょう(STAP細胞の存否ではなく,論文の写真等の問題です)。先ず,写真の不適切な使用がここまでの問題となると認識していたでしょうか。次に,きちんとかたちが残っていたでしょうか。実験ノートは2冊だけなどと報道されています。最後に,写真の差し替え等をきちんと説明できるでしょうか。科学の世界であのような説明ではとおらないでしょう。そういう説明をできない行動をしてしまった時点でリスク管理としてはアウトということになります。

 

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