ヒーローにはこれでもかとピンチを・・

売れる小説,売れる映画等のエンターテインメントをヒットさせる王道は,主人公をこれでもかとばかりに次から次へとピンチや困難に立ち向かわせます。主人公が一つの困難を乗り越えると,容赦なく次の困難がやってきます。例えば,「巨人の星」の星飛雄馬や吉川英治の「三国志」の劉備,映画では「インディ・ジョーンズ」をイメージしていただければいいかと思います。これは当たり前のことで,金持ちの家に生まれ,美男美女,スポーツ万能で頭も良い,長じてすばらしい配偶者を得て可愛い子供に恵まれて,仕事も何の苦労もなく大成功みたいな主人公では面白くも何ともありません。

経営が苦しいとき,悩んだりしたりしたときは,自分を第三者的な視点で見て,ヒーローが最後に成功するまでは,「ヒーローにピンチが続くのが当たり前」,と考えると元気・やる気がでてくるのではないでしょうか。

なぜ,所属弁護士数を増やすのか

当事務所には現在所属弁護士が5名います。本年12月には新人弁護士2名の採用が内定しており7名となる予定です。

たいていの方は「仕事が多いから」「忙しいから」増やしていると思われるようです。

しかし,私の考えは全く違います。ビジネスは,ある種の戦いですから,戦いに勝つための戦力を常に向上させるのは経営者として当然のことです。弁護士業の場合,「人」が唯一の「資産」「設備」ですし,弁護士の業務を弁護士以外の者にさせることはできません。現在,当事務所で多くの企業・法人ののお客様にご依頼いただいている状況で,弁護士1人や2人では到底お満足のいくサービスを迅速に提供するのは不可能と実感しています。

そこで,能力のある弁護士を多数迎え,研鑽を積んで個々の力を伸ばし,チームを組んで対応できる体制作りに力を入れている次第です。たしかに,費用はかかりますし,一人でやる方が気楽な面もあります。しかし,このような姿勢は,お客様に高く評価していただいていると自負しており,結果として仕事も増えています。

仕事が増えたから人を増やすのではなく,人を増やしたら(力をつけたら)仕事が増えるのです。

経営者の方々も,厳しいけれども,少し背伸びして思い切って投資をしたら結果として売上も増え,会社も大きくなったという経験をお持ちなのではないでしょうか。

経費削減も大事ですが,無駄な脂肪を落とすだけでなく,必要な筋肉まで落として会社の力まで落とすことは十分に気をつける必要があると考えています。

 

群馬県草津温泉の湯畑

群馬県草津温泉の湯畑

 

日本の労働法制が時代遅れであること及びその問題点

私は,弁護士として,使用者側で多数の労働事件につき依頼をうけて取り扱ってきました。その中で,つくづく感じるのがわが国の労働法制が時代遅れだということです。なお,私は使用者側の弁護士ですが,労働者をこき使っても良いとか,労働者の意思を無視して長時間労働させても良い,法律を無視しても良いなどとは全く思っていないことは念のため述べておきます。

一例として,時間外労働の問題をとりあげます。

最大の問題点は,従業員が,自発的に,「自分にあった働き方をしたい。」,「仕事が楽しいからしたい」,「自分のために限界まで仕事したい。」「仕事を通じて成長したい。」だから,法定労働時間を越えてでも働きたいんだ,という人間として正当かつ高邁な欲求があったとしても,企業側としてはリスク管理上それを受け入れることができないことにあります。予算等の問題もありますし,万が一,何かあれば安全配慮義務違反として多大なる損害賠償責任を負うことにもなりかねません。ちなみに私自身は,経営者ですが,年間3000時間くらいは働いていると思いますが,楽しくやっています。繰り返しになりますが,企業がそのような働き方を強制することは是認できません。しかし,自主的にこのような取組をすることまでが事実上できなくならば,個々の日本人,日本の企業,国としての成長・活力までもが著しく喪失され,国際競争で敗れ去ることは目に見えています。本来,労働者を保護すべき労働法が,個々の労働者や国の力をそいでいる,まさに,「角を矯めて牛を殺す」状態になっていると言わざるを得ません。

工場で機械が動いて皆が一斉に働いているならば,その働いた時間については一律に時間外手当を払うのが合理的です。しかし,知的労働や裁量性の高い労働ではそうとはいえません。また,結果として,努力をして成果をあげ,成長した人が報われるのも当然ですが,それもままならない状況にもつながっています。私自身,一介の弁護士に過ぎず,どのような制度が良いかなどという提言は手に余りますが,基本的には,自らの目標を高いところにおき仕事を自らの成長の場と意識してその人としてのベストを尽くす人と,仕事は単に生活の糧を得る場所と割り切る人を区別し,それぞれのグループに対応したきめ細やかな労働法制とすべきとは考えています。但し,わが国では,ホワイトカラーエグセンプション制度は,あっさり潰されました。

経営者の皆様におかれましては,あくまでも法令の範囲内という制限はありますが,可能な限り,「労働」を成長の糧ととらえて労を惜しまずに働く「人財」を企業の宝とし,そのやる気をそがずに成長させていく戦略をとっていただければと思いますし,私自身もそのように心がけている次第です。また,弁護士として,そのような仕組み作りもお手伝いもさせていただきます。

 

 

 

大事と小事

「王になろうとした男」(伊東潤著)を読みました。織田信長の家臣や信長と関係する者を描いた短編集です。非常に面白く,また,いろいろと考えさせられました。

信長は部下を競わせて使うことで他の大名に大きな差をつけていきます。織田家では出自等にに関係なく成果を出せば出世するし,成果を出せなければその逆でときには死が待っているという厳しいものとの前提のもとで話は進みます。おそらく実際もそのとおりだったのでしょう。出自に関係なく出世した者の典型例は豊臣秀吉と明智光秀です。

特に印象に残るのは,些事に到るまで細やかに気配りできるものが出世していくくだりが多く登場することです。細やかな気配りができる者は,単に信長を気分良くさせるから出世するのでは無く,「こうした些細な気配りが,将来,戦場で指揮を執る際にどれだけ役に立つか,信長はよく知っていた。」(上記著書からの引用)からです。些事を疎かにする人が大事をきちんとできるはずもありません。

私のおつきあいのある経営者の方も,会社が非常にうまくいっている方は例外なく細やかな気配りのできる方ばかりで,感服させられまた大変勉強になります。また,私自身がこれまで雇ってきた弁護士や事務員も,細かい部分までしっかりと気の利く人はやはり優秀ですし,逆に,気配りができず相手の気持ちに立てない人は私をいらいらさせるばかりで仕事もできませんでした。

私自身,些事も大事にし,常に依頼人の気持ちに立って業務を遂行していきたいと常に考えていますし,事務所の全員にそのことを求めています。未だ,道半ばではありますが,これが完璧にできるようにならば事務所の繁栄はまちがいないと考えています。どのような仕事でも本質は変わらないと思います。

世の中には,大事なことさえきちんとすれば小事はどうでもいいなどと考えているように見受けられる人が多く居ますが「残念な人」と言わざるを得ません。そのような人に大事を託すことはできないですし,そもそもそのような考え違いをしている人に大事が達成できるとは思えません。

熱田神宮に残る信長が奉納した塀

 

 

ご挨拶

私は,弁護士として日々業務を行っていますが,同時に,零細企業の経営者でもあります。依頼人の方がいなければ,いくら弁護士としての力量があってもその力を発揮することはできないですし,業務遂行を通じて成長することもできません。また,きちんと正当な利益を得ていきそれを再投資していかなければ,依頼人の方に最先端の最高のサービスを提供することもできません。従って,弁護士にとっても「経営」を考えることは非常に重要です。

このブログでは,私自身が経営にあたって考えたり悩んでいることや,仕事を通じて多くの経営者の方から学ばせていただいたこと,時には雑感等を定期的にアップしていきます。

読者の皆様のお役に少しでも役立てれば嬉しく思いますので,ご笑読いただければ幸いです。

新春の浅間山